

相続税の節税対策が厳しくなっています。最近の状況を見ていきましょう。
相続税の節税対策でアパート建築する理由
相続税対策としてアパートやマンションの建築を勧められたことはありませんか?
アパート等の建築がなぜ相続税対策になるか、確認していきましょう。
未利用の土地(自用地)などは路線価として評価をすると約8割となります。
さらにアパートなどの賃貸物件を建てることにより、貸家建付地として評価され、路線価のさらに約8割での評価にまで下げることができます。
つまり、自用地の約65%での評価となります。
さらに要件を満たせば、200㎡までは小規模宅地等の特例で、評価額を50%にすることもできます。
アパートを建築する際には銀行から建築資金を借り入れることで、借入金による債務控除で課税価格をさらに引き下げることができます。
ただし、注意点があり、相続税での土地の評価は、相続開始の際の現況判断となります。
つまり、アパートを建てる前に自用地のまま被相続人が亡くなってしまった場合、その後にいくらアパートを建築しても意味はありません。
相続税で東京地裁が路線価の評価を否定
2019年8月、東京地裁は相続税での路線価による評価を否定する判決を出しました。
川崎市と杉並区に合わせての時価評価は13憶を超える2つの賃貸物件を相続したケースですが、路線価や固定資産税評価額などによる不動産の評価額では3億7千万円程度と実に1/4にまで下がってしまいました。
これにより、時価との評価が乖離が大きい、とする国税局の主張が認められる判決となりました。
この判決では、時価と路線価等による評価の差が著しく大きい、とのことで「路線価に基づく相続不動産の評価は不適切」との東京地裁判決でしたが、路線価での評価が絶対ではなくなったことに衝撃を与えました。
また、露骨な節税対策は目に付きやすくなり、リスクも大きくなってきています。
今までは、相続対策のためのアパート建築は当たり前のようなものでしたが、考え方を変える時期に来ているのかもしれませんね。
相続税の節税対策でのタワーマンションや一般社団法人も厳しく。
2015年に相続税の基礎控除が下げられた頃から人気になったのが、タワーマンションによる節税方法です。
タワーマンションは超階層で戸数が多いため、割り当てられる土地の持ち分割合が低くなります。
また、建物部分も「固定資産税評価額」になるため、実勢価格の60~70%での評価となります。
当時は、実際の市場価格と相続税での評価額とに大きく開きがあることで高層住居ほど人気があり、節税目的でタワーマンションを購入する資産家は非常に多かったのです。
ですが、相続税対策だったことがあからさまだったことで裁判で否認されたり、2018年以降に引き渡された物件の高層階の固定資産税評価額が引き上げられたり、とタワーマンションによる節税は厳しいものになっています。
また、2019年10月の台風で停電被害も起きたタワーマンションもあったため、タワーマンションの高層階エリアでのリスクが露呈されることになり、市場価格に大きな影響を与えてしまいました。
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東京でも2025年頃からは人口が減ってきます。
アパート経営もタワーマンションもそうですが、不動産を持つことにはリスクが伴いますので、相続税対策だけを理由に簡単に決めてしまうのではなく、将来のことも考えて取得する必要があります。
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相続税の節税としては、一般社団法人を設立する方法も人気がありました。
社員(構成員)が2名いれば設立でき、官庁の許可も不要、出資持分といった概念もありません。
一般社団法人には相続税が課税されないため、資産を一般社団法人に移し(この時は贈与税がかかります。)、その後は「社員交代」ということで資産を子供や孫に引き継いでいくことができます。
しかし、この方法も「相続税逃れ」と見なされ、平成30年の税制改正では家族で設立した一般社団法人にも相続税を課税することになりました。
年々相続税については厳しくなるイメージがありますが、相続税対策をまず最初に考えるのではなく、税理士に相談して「相続税額をまず把握する」ことから始めてください。
相続する金額に比べると意外と納める相続税額は少ないかもしれません。
悪い不動産業者などに惑わされて、将来に大きなリスクを抱えることにならないようにしましょう。
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それでは、また。